Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

ポン・デュ・ガールから連想したこと(南仏、北イタリア旅行記 2)

今日はアヴィニョンからニームへ行く。ニームの街を少しぶらついてから、バスで45分、山間部に作られた古代ローマの水道橋ポン・デュ・ガールを訪れる。

長年の歳月を経て今や自然と一体となった水道橋が現れてくると、壮大なスケールに圧倒される。水を流すためにかすかに勾配がつけられていて、遠くニームまで水を運んでいた。


ところで、昨年の夏学期に設計課題のワークショップで訪れた中国四川省の都江堰(とこうえん)も、古代の巨大な土木遺構で、山を切り崩して川の流れを分岐させた灌漑・水利施設。見学していて石川幹子先生に「すごいですね。」と言うと、「これを大学1年生のときに見ていたら、土木に進んだかもしれないわよね。」

ポン・デュ・ガールも、石川先生のこの賛辞がよく当てはまる。古代の土木遺跡は、人間の豊かな生活のためにはお金がかかるとか大変だとか、そんなことは関係ない、何としても作るのだという単純明快な気概を今に伝える。

そして、ローマの場合は、最終的にパクス・ロマーナという目的があるのだった。ヨーロッパから北アフリカまで、地中海をぐるりと囲む一大経済圏の平和。…そういえば、きょうすけたちのプロジェではこの時期にチュニジアにワークショップに行くことになっていたのだが、現地の情勢悪化で中止になってしまった。