Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

マルセイユとユニテ・ダビタシオン(南仏、北イタリア旅行記 3)

外観しか見られなかったフィルミニのユニテは違和感が強かったが、最も名高いマルセイユのユニテは今度こそよかった。

中を歩くと、「建築に都市を内包する」「コルビュジエの構想力」などのユニテを評する言い回しはそういうことだったのね、と思い知る。巨大なコンクリートの箱の中に住戸、お店、ホテル、レストラン、幼稚園などが詰め込まれているのだが、それぞれちゃんと特徴ある空間として設計されている。これが60年前に建てられたとは。建築が未来を先取りするとはこういうことか。コルビュジエはどこまで頭のいい人なんだ。そしてそれ以上に、この建築を実現にこぎつけた粘りを感じる。

たまたまユニテに住んでいる日本語の上手な韓国人のママさんがベビーカーを押して廊下を歩いていて、いろいろ案内してもらった。住み心地には満足しているらしい。「子供を育てるにはとてもいい」「普通のアパートとは違う。まさに町のよう」


ユニテ・ダビタシオン訪問の前後はマルセイユを見物する。フランス第二の人口のこの港街は、乱暴な言い方だが、パリのがさつな下町地域がでっかくなったような印象だった。

港のほとりのレストランで名物のブイヤベースを食す。これしか注文しなかったので、中村師童みたいなウェイトレスは少し機嫌を悪くしたようだ。それでも魚の生臭さがそのまましみ込んだような濃厚な味はいい思い出になった。

観光地に来ると、あそこ登ってみたい、と思う場所がある。マルセイユにも高い丘があり、急坂を登って上にたどりつくと、建物がひしめき合った街や、海と山が入り組んだ地形を360度望める。少年時代のジダンはこの街のどこかでボールを追いかけていたのか。

道すがら、小学生くらいの男の子に話しかけられる。僕が手に持っていた地球の歩き方を指さして、「それドラゴンボール?」「ちげーよ。おまえドラゴンボール好きなのか?」「うん、(ポーズをとりながら)か・め・は・め・波―とか」…ガキのころのジダンも旅行者に絡んでいたのだろうか。