Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

ル・トロネ修道院(南仏、北イタリア旅行記 6)

アヴィニョンから4人で電車やタクシーを乗り継ぎ、16時頃ついにル・トロネ修道院にたどり着く。天気は雨だが、しっとりとした雨音によって、気持ちが沈静化した状態で訪れることができた。あの音はよかった。

「祈り、働け」という修道院の教えをそのまま表すように、教会や諸室が分厚い石の壁で簡素に作られる。そして中央の回廊がこれらを束ねる。このプランは驚異的である。部屋や回廊をつなぐ部分のアーチや階段の存在感もただごとではない。厚い壁に空けられた窓から漏れる光は劇的だ。

修道院での生活などろくに知らない僕たちにさえ、この建築は確固とした生活の「かたち」があったことを感じさせる。無名の修道士たちの知恵の蓄積によってできた建築であろうが、生活から建築が導かれるのか、建築が生活を規定するのか、いずれにせよ、建築と生活が最大の振幅で共振しているさまを感じさせる。

心にズシンとくるままに、皆しんとなって場所にひたっていた…。