Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

ガララテーゼ、イタリア人の都市(南仏、北イタリア旅行記 10)

ミラノ郊外にアルド・ロッシ*1設計のガララテーゼの集合住宅を見に行く。西側で芝生の公園に面していて、4階建て、長さ182m、幅12m。

地上階の常軌を逸した壁柱の列柱のピロティ空間が最大の特徴だ。素っ気ないが、いや、だからこそ不思議と居心地よくもある。それにこの列柱、写真や図面で見ると馬鹿げているようにも見えるが、公園とのつながりなど考えると、なかなか説得力もある。
何より子供たちにとってこの上ない場所であるだろう。もし僕が子供時代にここに住んでいたら、晴れの日は公園で、雨や夏の暑い日にはピロティでサッカーをしていた光景がありありと想像できる。ロッシの語る「類推的建築」などについては日本に帰ってから勉強しよう。



また最近、パリでの建築の知人に勧められてイタリアの現代作家カルヴィーノの『見えない都市』という小説を読んだ。マルコ・ポーロフビライ・ハンに様々な空想の都市を語るという話で、不思議な感銘が残った。ロッシにしろカルヴィーノにしろ、イタリア人は都市(citta チッタ)に対する独自の鋭い感性を、形而上的にも形而下的にも、備えているように思われる。

僕のこの文章も含めて、日本の建築の先生や学生が都市という言葉を使うとき、そこには所詮専門の勉強を始めてから覚えた観念をふりかざすようないやらしさがあるが(これも偽悪的な言い方すぎるが)、イタリア人の語る都市は、もっと民族のDNAに刻まれたところから語るような実感がこもってはいないか。

*1:1931〜97。イタリアの建築家。