Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

パラーディオの街(南仏、北イタリア旅行記 17)

今日はヴェネツィアから日帰りでヴィチェンツァに行き、パラーディオ*1の建築を見て回る。

まずは劇場建築のテアトロ・オリンピコ。これがいきなりすごい!場内は劇場としては小さいくらいだが、舞台背面の壁と客席後ろの楕円状に並んだ列柱で囲まれた空間に、舞台奥のパースペクティブが広がりを加える。そして数多く置かれた彫像が場所に生気を与えていて、厳粛な気持ちになる。


テアトロ・オリンピコを出て、街の中にいくつも散らばっているパラーディオ設計のパラッツォ(邸宅)を回る。が、道の幅と建物の高さの比率からして肝心の正面もあまり眺められないものが多い。それにヴィチェンツァの街はルネサンス的均整の取れた美しい建物ばかりなので、パラーディオだけ特別扱いして歩かなくてもいいやと思った。

街の中心の広場にあるバジリカはパラーディオの代表作とされているが、何か居心地がよくない。ヴェネツィアのパラッツォ・ドゥカーレと比べると、たぶん広場を囲う建築としては一層目が高すぎてとっつきにくく、また、二層がほとんど同じなのが単調なのではないか。と、今の時代の感覚からすると思う。


バジリカから30分歩き、最も有名なラ・ロトンダに行く。これは郊外に建てられたヴィラ(別荘)で、神殿のようにそびえている。街の中心からのどかな道をしばらくゆくと、ゆったりとした自然の中に幾何学的建築が待っている、というストーリーがサヴォア邸に確かによく似ている。


最後の写真は、帰りがけに撮ったラ・ロトンダの遠景と、近くから反対側を撮ったヴィチェンツァの遠景。バジリカの緑色の大きな屋根が映える。街とラ・ロトンダの距離感を伝えられれば。


*1:アンドレア・パラーディオ。1508〜80。後期ルネサンスの時期の建築家。