Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

スカルパを巡る(南仏、北イタリア旅行記 18)

今朝は早起き。ヴェネツィアから遠出して、カルロ・スカルパの建築を見に行く。

まず電車で1時間、次いで塔と城を目印にバスターミナルまで歩き、バールの主人から情報を得て、バスに揺られて数十分…とRPGさながらのルートをたどり、お目当ての「ブリオン・ヴェガ墓地」に到着する。(行き帰りの道中も大変思い出深いが割愛。)このブリオン夫妻のお墓は2000平米の豊かなL字形の敷地をもち、山を望める畑の広がる平野、近くに鳥の声を、遠くに自動車の音を聞く田舎にある。

五日前に見たカステルヴェッキオと違い、こちらはスカルパが細部の細部までやりたい放題こだわった、ゆえの弛緩やうとましさもちょっと感じる。けれどその場に身を置くうち、しだいに墓とは思えず、公園のように見えてくる。芝生があって、少し風化した物体があって、壁のむこうがわが見えたり隠れたり。もはや公園にしか見えない。するとがぜん魅力的な場所に見えてくる。そう考えていたら、小さな子が母に連れられて散歩に来て遊んでいった。

ミラノに留学中という日本人の学生に会い、一緒にバスでさらに奥地のカノーヴァ美術館にも赴く。入ってみると展示もなかなか面白い。スカルパは小さな増築部分を手がけていて、十分な採光、斜めの部屋や視線の抜け、天井高の変化などで気持ちのいい空間だ。住宅やレストランとしてもとてもいい場所になりそう。

と、ここで、スカルパの建築を訪れるといつも実際の機能とは別のことも連想していると気付く。なんでだろう。不思議な建築家カルロ・スカルパ