Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

持たざる街(イギリス旅行記 6)

今日はロンドンからリヴァプールへの移動日。途中、太田先生が都市デザインの授業(面白い授業だった)で称賛していたバーミンガムに寄る。

13時に到着し、何時間も歩き回り続けてみる。たしかにイギリス第二の人口の都市だけあって活気がある。何がそんなにいいのだろうか、というのが正直な第一印象だったが、戦争で壊滅的な被害を受けたらしいバーミンガムに、歴史的なお行儀よく整った街並みを期待しても、ないものねだりではないか。

とにかく街の中心を人がよく歩いている。そのように街が作られている。大きなショッピングセンターも市街地の回遊性に取り込まれている。世の中には自動車という便利な、しかし街の中を歩いて楽しむ人には邪魔にもなる乗り物があるが、その存在を、バーミンガムを歩いているとしばし忘れてしまう。

また、わずかな街の遺産である運河のある地域も、これまた一続きの歩行者空間が整備されている。各地域の特色を打ち出そうとする姿勢がよく伝わってくる。目玉となるような歴史地区も、これといった風光明媚な自然もない「持たざる街」でも、都市デザインでここまでできるのか。たしかに日本の都市にとっても大いに参考になりそうだ。

それにしても、太田先生がバーミンガムを勧めていたのは、ある意味で上手な誇張に思える。建築学生が狂喜乱舞するような傑作の建築はひとつもない。むしろ安っぽい建物が多いくらい。でも、だからこそ、公共空間や歩行者空間のネットワーク化という戦略が浮かび上がってくる。

バーミンガムにはあまり感動はしなかった。けれど、とても感心した。