Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

双子都市、橋、天使(イギリス旅行記 12)


湖水地方を発ち、次の街ニューキャッスルへ。イングランド北部、タイン川を挟んでゲーツヘッドと双子都市をなす。

昼過ぎに到着し、宿のチェックインを済ませて街へ出かける。こぢんまりとした街並みを通ってまずはタイン川へ下りてみる。と、いきなりミレニアム・ブリッジが可動する瞬間に立ち会うことができた。これはニューキャッスル・ゲーツヘッドの都市再生の一環として2001年に完成した可動歩行者専用橋で、双子都市を繋ぐという意思がこの上なく明快に表されている。船が通る際に橋全体が回転するという秀逸なアイデアが用いられていて、週に四回だけだが、名物イベントになっている。

船とかもめ以外は皆一時停止して、ゆっくりと回転する橋を両岸から眺めている。この一大スペクタクルは思い思いに川岸をそぞろ歩く人たちの気持ちをしばしひとつにまとめあげる。街に着いたばかりの僕も、自然とその一体感の中に組み込まれる。


翌日、ハドリアヌスの長城から帰ってきてから、ゲーツヘッドにある巨大な彫刻「エンジェル・オブ・ザ・ノース」を見に行く。1998年完成、高さ20m、幅54m。こちらも文化主導の都市再生の起点となるべく、ゲーツヘッドのシンボルとなったパブリックアートだ。

だが一日の疲れがたまっていた夕方で、あまりゆっくりと鑑賞もせず帰ったというのが正直なところだ。巨像がすっくと立っている姿は格好いいが、もっとその勇姿をゆっくりと眺められる視点がほしい。ゲーツヘッド市民の方々には失礼かもしれないが、大船の観音像を思い出した。

場所も普通の大きな道路の脇で、特に人の流れのポテンシャルがあるようには見えない。とはいえ生活巧者のヨーロッパの市民のことだ。アラン・シアラーの引退のときにニューキャッスルのファンが「天使」にユニフォームを着せたらしいように、ここぞというときにエンジェル・オブ・ザ・ノースを上手く使っているのかもしれない。