Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

ヘルシンキにある建築(スウェーデン、フィンランド旅行記 7)


キアズマ(1998)

中央駅の近くに建つ、国立現代美術館、通称「キアズマ」。エントランスを入ります。緩やかにカーブするスロープのある、大きな吹き抜け空間が現れます。カメラを取り出して、シャッターをきりましょう。格好いい写真が撮れました。…これで建築学生としての義務は果たしたという気分になる美術館だった。

期待を相当高く持っていたために、失望も大きかった。圧迫感を感じるし、仕上げも雑だし。設計者のスティーブン・ホールかクライアントか誰に怒ればいいのか分からないが。でも僕のようにけなす人もいれば、大いに褒める人もいて、それが建築の面白いところだ。



テンペリアウキオ教会(1969)

フィンランド語の名前は覚えにくすぎる。岩をくりぬいて作られていて、ロックチャーチとも呼ばれている。うーん、、、自然を活かしたというより、悲しいことに遊園地のようなわざとらしさを感じてしまう。そもそも1969年に街の中央付近にわざわざこんな教会を作った意図がわからない。観光名所を作りたかっただけのように感じてしまった。いちおう写真です。




ミュールマキ教会(1984

ヘルシンキから電車で20分ほどの郊外、駅前の林の中にある。1984年、設計者はユハ・レイヴィスカという建築家。

これは良い建築だと思えた。特に礼拝堂は白く塗られて清純な雰囲気を漂わせている。柱や照明、縦長窓などは垂直線を強調していて、スコットランドで見たマッキントッシュの建築に似ている。

設計者はパイプオルガンもこだわってデザインしようとした(職人との妥協案に落ち着いた)。祭壇の上方のテキスタイルも綺麗。構造の要素と装飾的要素が繊細なバランスで調和していて、まるで美しい抽象絵画のよう。この教会を訪れたある知り合いは「あれは、、、泣いたね」と言って讃えていた。

新旧問わず礼拝堂の建築には名作が多い気がする。そこに人が集まることに、何か人の本性と深く結びついた必然性があるのか。