Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

ヘルシンキの宿(スウェーデン、フィンランド旅行記 10)

ヘルシンキで滞在していたユースホステルは、大袈裟に絶賛するほどではないが、とてもいい宿だった。今まで他にもロケーションや快適さなどで良い宿はあったが、どれもいかにも「宿泊施設」であったふしもある。

一方ヘルシンキでは、街中の普通の―といってもそれなりに歴史はありそうな―建物の3階部分が宿として使われている。ヨーロッパの街は中庭をそなえた都市建築の形式がしっかりしているので、数日間の滞在でもそれにアジャストできるほうが、街への親しみも深まる気がする。加えて宿はアットホームな雰囲気だった。

面白いことに、アットホームな宿のほうが、客同士の挨拶や会話も活発になるようだ。スタッフの人たちも愛想よく、親切だった。北欧は店員さんからバスの運転手にいたるまで、みんながみんなニコニコしていて親切だったが、ここは特に。

ところがひとつ問題が生じた。初日の夜、午前4時半頃、同室の一人のいびきがうるさすぎて目が覚めてしまった。他の数人も起きてしまったようで、皆寝返りを打ったり、口には出さないが「あいつ、ないわぁ」みたいな空気が共有されている。

僕は耐えきれずにリビングダイニングにしばらく避難に出ると、本棚に日本語の本も見つけた。『心の野球』…。桑田真澄が引退後に出した本らしい。暇つぶしのつもりで手に取ったら、どんどん読み進めてしまった。やっぱり桑田はすごい。そして人間性も豊かなんだと素直に尊敬する。ヘルシンキまで来て何をしているのかと言うなかれ。こういうのを、セレンディピティというのである。