Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

長谷川豪、スタディとリアル

建築関係の人にはおなじみ、乃木坂の「ギャラリー間(ま)」で、若手建築家の長谷川豪(はせがわ ごう)展が行われている。関連イベントの本人による講演会の抽選に幸運にも当選して、先日聴いてきた。

長谷川豪さんは初めて生で見たが、ソフィスティケートされた若手建築家の予想イメージ通り。講演は展覧会と同様の「スタディとリアル」という題だった。これはもちろん重要な言葉だけれど、展示を見ても、手がけたプロジェクトから共通点を抜き出してキーワードをこしらえてキャラ作りをするタイプの建築家ではないように思った。

それで講演はというと、これまでの11作品について、ひとつずつ時系列で話していくというもの。特にひねりのない、素直な内容だ。しかし、予定の2時間をオーバーした講演は全く退屈することなく、濃密な時間となった。なぜか。

長谷川さんは「何がやりたかったか」ではなく、単に「どこがどうなっているか」を淡々と、しかしハキハキと語り続けた感じだった。幾度か「余白」という言葉を使っていたが、大学院生の僕にとって、聴いていて、想像で埋める余地のある話の余白のあり方がまさに良かったのだと思う。

展覧会の話を受けた直後に東日本大震災が起こり、展覧会を利用して立ち上げたプロジェクト「石巻の鐘楼」にも共感できる。詳しくは、乃木坂へ。