Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

畑が違えば(ラングドック旅行記 3)

調査旅行をともにした研究会のメンバーは、僕の所属する建築史の研究室を中心としつつ、他大学の西洋史の若い先生方も何人か加わっている。それぞれがフランスに長期の留学を経験された方々で、現地の事情には精通している人たちばかり。だからフランス史の知識教養から日常の文化まで聞けば何でも答えてくれて、この打てば響く感じはとても嬉しい。

歴史を扱っている点では建築史と共通していても、西洋史正真正銘の文系畑。両者のスタンスの違いも多く感じられる。今回一緒に各地を回ってみて、建築専攻の僕たちはフィールドに出て「モノ」を読み解くことに大きな特徴と強みがあるということも改めて実感した。

だが建築の人たちの悪癖は、往々にして主観的なものの見方による自己完結に陥ってしまうことであろう(例えば、意匠系の学生の卒業論文がしばしば「卒業エッセイ」と揶揄されるように)。建築を作る行為は実践状態に没入することをひとつの本質にもつが、そうした行為は客観的な視点・意見によって相対化されてこそより広く、そして強く説得力を獲得していくもの。一年後からは設計の仕事に従事することが決まった僕にとっては、俯瞰的視点から物を考えることにも長けた西洋史の先生方との交流は大事にしたいとこにろだ。

やや硬い文章になったけれど、旅行中は皆が互いにへらへらと違いを楽しんでいたと言った方が余程当たっている。
「おお、ヴィオレ・ル・デュク通りだ。撮ろう。」
「じゃあ、それに萌えている建築の人たちを撮ろう。」(ナルボンヌの街にて)
大体がこんな感じだった。