Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

セルス(ラングドック旅行記 4)

本日天気晴朗ナレドモ風強シ。……

全日程が快晴、雨は一滴も降らず。これ以上望めないほど空には恵まれた旅だった。加えていくつかの街では、台風ばりの強風を、その地域独自の自然に対する実感が深まるというポジティブな意味で体験した。

セルスcersと呼ばれる強い西風がそれである。ロワイヤル仏和語辞典にも「ラングドック地方南部に吹く西風、北西風」と掲載されている。標準語と異なり、最後のsを読む発音にも地域性を感じる。

この地域に残されている歴史的な史料にも住宅関係の記述に際してセルスを方角の基準としていたりするなど、暮らしに密着してきた風だという。

グリュイッサンの街の要塞の頂上ではまともに立っているのすら困難な強風。だが、集落部分では風は穏やかだった。確かな裏付けがあるかはまだ知らないが、巧みに風を避けた集落立地だとしたら高度な環境共生都市だとも言えそうだ。

さらに、ポルテル・デ・コルビエールの集落。写真で木々が東である左側に傾いているのがわかるでしょうか?渓谷にかかる橋からは遠くに望む海にまで飛ばされてしまいそうで本気で怖かった。エスカリエ・デュ・セルス(セルスの階段)という名前の通りも見つけられた、風と坂の街。