Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

三四郎池礼賛


知っている人も多いかと思うが、東大の本郷キャンパスの中央あたりには観光名所としても名の知れた三四郎池がある。キャンパスが江戸時代に大名屋敷だった頃の庭園で、正式には育徳園心字池という。実は僕は3年前の卒論の時期以来、作業がひと区切りしたときなどよくここを散歩している。今まで池の周りを何周回ったかわからないほど。

季節時間によってじつに多様な表情を見せる三四郎池、二つとして同じときはない。たとえば秋の美しさは格別、雪景色も風情がある。個人的なおすすめは日暮れ時、庭園に点在する照明が灯り始める時間帯、池の水面に光が映って魔法的な浮遊感を醸し出すとき。

建築関係の人たち同士の会話では感動した建築体験だとか良かった場所について話すことが多いが、あまり誰も三四郎池について語る人がいないのは不思議でならない。地形の段差を活かした造園、豊かな回遊性、水際空間に不要な柵がない(アーバンファニチャーへの示唆)ことなど、色々な面から面白い例だと僕は思うのですが、、、。

通称の三四郎池という名の由来は、夏目漱石の小説『三四郎』の舞台として登場したところから。今の三四郎池には、似つかわしいことに猫がいる(最近あまり見てないけど)。これで赤シャツでも現れれば漱石メドレーがかなり完成してくるのだが、今のところさすがにその機会には恵まれていない。

修論の迷羊(ストレイシープ)は今日も池を回遊するのである。