Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

独創的な一日

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先日も書いたように、3/8〜21までイギリスとフランスに卒業旅行に行ってくる。留学中は一人旅が多かったのに対し、今回は途中まで二人行動だし、約2週間の旅程のうち半分以上はロンドンとパリで知り合いの家にやっかいになる。こうした安全性から、今回はノートパソコンを旅に持参して、どの程度できるかわからないが、旅行中のブログ執筆を試みようと思っている。

旅先での行動の練習と身体慣らしがてら、昨日は一日外出してまわった。まずはお昼前に田園都市線桜新町駅で降りて、用賀まで歩く。ちなみにこのあたりは玉川上水の分水でいうと品川用水跡付近となる。桜新町駅前の通りは歩道が広く、電柱がなくて気持ちよい。用賀からは、あまりメジャーではないようだがグッドなデザインのスポット「用賀プロムナード」を歩いて砧公園の世田谷美術館に行く。20世紀前半のアメリカの、僕にとってはなぜかどうにも名前の覚えにくい写真家の企画展。

ルーヴルで見るから芸術なんだよ。『ヴォーグ』をルーヴルにしよう。


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用賀駅に戻り、昼食をとって、次の行き先は横浜市IKEA港北である。この3月から用賀から無料シャトルバスが出ているのだ。用賀に来るバスが途中で交通止めに巻き込まれて1時間半の遅れが生じるというトラブルが発生したが、これもヨーロッパ旅行前となると良い練習だ。特にフランスでは必ずストに遭遇すると思っておいた方がよいことをここで思い出す。さて、時間をつぶしてから改めてIKEAへ。良い悪いの価値判断は置いておくが、何度来てもあのシステムはすごいと舌を巻く。遊園地や美術館にも引けをとらないのではないか。4月からの新生活について家具や食器、雑貨類のイメージをふくらませることが目的だったので、買い物は何一つしなかった。

ところで今から3年前、学部から大学院にかけての春休みに港北ニュータウンのセンター北からIKEAまで歩いてみたことがあるのだが、(僕らの学年の卒業設計の最優秀作品がセンター北・センター南を敷地としたプロジェクトだったので見に行ってみたのだ。他の同級生の作品も含めて、パネルや模型を見てから実際に敷地を訪れてみることはとても勉強になった)今回はそのルートを延長するような形で、IKEAから日産スタジアム、新横浜駅菊名までを散策してみる。

日産スタジアムは2002年のサッカーW杯日韓大会に伴って建設された大型スタジアム。これまで何度も来たことはあったが、この機会に周辺の状況にも注目してみようと思った。おそらくあの周辺一帯は横浜市や神奈川県の内陸部の中でも比較的平坦な土地が広がっている地域で、まさしく郊外の巨大なスケールを感じる都市景観。日産スタジアムにしろIKEAにしろ(ららぽーとも付近に位置しているようだ)、めぼしい場所を選んで着陸した宇宙船のように見える。新横浜駅に着いた頃に完全に日が暮れる。ここよりさらに東の菊名の方面まで歩いていくと、起伏の多い地形に戸建て住宅地が建ち並ぶ地域になってくる。僕としてはこれが神奈川県のひとつの特徴的かつ典型的な風景と感じている。


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夜はその付近に在住の知り合いと夕御飯を一緒にする。この人は僕より少し年上の社会人の方で、建築とは特に関係ない仕事をしているけれど旅行が好き。色々な国の話を聞かせてくれる。直接会ったのは半年ほど前に一度だけで顔もろくに覚えていなかったのだけれど、その雰囲気だけは妙に印象に残っていた。久しぶりに会って話してみても、落ち着きと静けさをたたえた不思議なたたずまい、どこにでもいそうで実はどこにもいなさそうな人かもしれない。昨日を通じて用賀での待ち時間などに読んでいたのが松岡正剛の『フラジャイル』だったのだが、まさにフラジリティをもった人とはこういう人かしらと思ったりしたり。入ったお店のカレーも驚くほど美味しかった。

まったく、軽い身体慣らしのつもりが、実に密度の濃い独創的な一日となった。