Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

町田市役所へ

2009年のM-1グランプリで優勝を果たしたパンクブーブーの決勝1本目のネタに、こんなやりとりがあった。マンションの隣の住人とのいざこざという題材。
「あれ、お隣の佐藤さん、どうしたんですか?」
「どうしたんですかじゃありませんよ。お宅のテレビの音がうるさくてね、うちの掃除機の音が聞こえないんですよ!」
、、、

さて、僕にとっての7月は会社で携わっていたコンペに追われ、ほとんど自宅と会社を往復していた記憶しかない。パンクブーブーになぞらえると、
 テレビの音がうるさくて:設計の仕事が忙しくて
 掃除機の音が聞こえない:建築について考える時間がない
という期間だった。設計をする時間と建築について考える時間は別で、そのどちらもが大切だと思っている。コンペがひと区切りついた今、後者の時間もとらなければならない。そこで、土日に出勤した分の振替休日だった水曜は、一日お出かけして建築を見て回ることに。平日に見た方がよいだろうという建築に的をしぼる。

まずは槇文彦さんの設計で最近竣工した神奈、、、東京都の町田市の新庁舎を見に行く。全体のクオリティの高さ、完成度はさすがで、ランドスケープも豊か。加えて、単に機能として優れている、すっきりまとまっているということこととは別次元で、どこか詩的な寂しさを感じさせる美しい空間が現れもする。

槇さんはモダニストの建築家として功成り名遂げた巨匠であり、組織設計事務所のように常に堅実な建築を作っているというのが一般的に定着した印象だと思うが、「独りのためのパブリックスペース」など、様々な機会に孤独や不安といった文学的ともいえる言葉で建築を語ってもいる。槇さんの建築は、そうしたある種の人間臭さもしっかり感じられるところが魅力のひとつだと思う。


次回:工学院大学へつづく