Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

工学院大学へ

次に町田からJR横浜線を北上して八王子駅で下車、さらにバスに20分ほど揺られて工学院大学八王子キャンパスへ向かい、千葉学さんの設計による工学院大学125周年記念総合教育棟を見に行く。学生時代には現場事務所にもバイトに行ったなど自分なりの思い入れもある建物で、ついに竣工した建築を見るというわけだ。

雑誌に載った竣工写真からは、「写真では良さの伝わりきらないタイプの建築なのだろうな」と感じていた。けれど千葉事務所の所員さんや元所員さんたちと話したときには「いい建築を作れた」と自負しているようだったので期待をしていた。そして実際に訪れると、期待を上回って良かった。

建物の外の広場群、パサージュと呼ばれる外部空間、屋外や他教室のアクティビティも垣間見える教室群、所々に設けられたラウンジやテラス、また建築の構成を直截的に表現した内外装の扱いなど、、、、、、大学キャンパスの建物として、学生たちの雑多な活動を受け入れるおおらかさをたっぷり備えた建築だと感じた。また、これは自分だけの感想かもしれないが、このおおらかさは日本より外国にある建築物であるかのような印象も受けた。

千葉さんは、ある文章でスイスのとある建築について次のように賞賛している。

そこには、(中略)建築が物質によって生みだされた形態の集積であるという事実と、そして日常性への仔細な観察から生まれた発見的な造形や秩序こそが新しい世界を見せてくれるという、建築の根源を見るのである。

工学院の総合教育棟もこの形容が十分あてはまるのではないか。今はテスト期間らしく、建物の内外を慌ただしくしかし楽しげにわらわらしていた学生たちを見ながら、そんなことを考えていた。