Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

食堂つきアパート

建築系の雑誌などでは「食堂つきアパート」という作品名がついているこの建物、近くだから見に行きたい見に行きたいと思いながら数か月が過ぎてしまっていたものを、日曜の昼にようやく訪れることができた。"ties"というレストラン・カフェが1階にある、"Stairs"という3階建ての小さな集合住宅。


昼食は家で食べて来ていたので、アイスコーヒーのみを注文する。スタッフの方々も近所に住む常連の家族の子供たちもハロウィーンにちなんだ仮装をしていて小さなフリマも開かれていて楽しげだ。子供たちは「いたずらねこ」がなんちゃらかんちゃらと走り回っている。さて飲み終わって出ようとすると、女性シェフの方から声をかけられる。

「建築関係の方ですか?」
「ええ、近くを通りかかったので。それから、(設計した建築家の)仲さんと宇野さんが大学の先輩なんです。年は離れてますけど」
「そうなんですか。よかったら上も見ていかれますか?こんな格好ですみませんが」
「いいんですか、ぜひ!」

このやりとりだけでも、いかに良い建築かが伝わるというものだ。案内されて上までのぼらせてもらう。建物の外側を階段・路地がぐるりと回っていく構成が効果をあげていて、まさに建築のハードとソフトの良好な関係のお手本のよう。最上階のテラスから街を見おろしながら、お店を開くに至った経緯なども簡単に聞かせてくれた。

「自分のお店を持ちたいならばビルの一角を借りるのでもよかったはずなのに、こういう場所を作られたのはすばらしいですね」
「料理や食事を通じて人が集える場所を作りたかった。そういう意味で住宅地の入口という場所に可能性を感じていた」

などなど説明をされて、街に対するビジョンの持ちように静かに感激したりした。料理の味はというと、帰って何とはなしに"ties"で検索してみたら、口コミで料理の味を褒められたり貶されたりしているから、結局建物と同様に自分で判断するしかないのだろう。