Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

ハイライン(ニューヨーク、ボストン旅行記 3)



旅行前から最も期待していたスポットのひとつであるハイラインには、比較的人が少なそうな月曜日の午前を選んで訪れた。説明臭くなるが、ハイラインは廃線となった約1マイル半の貨物用高架鉄道の線路を公園として再生したプロジェクト。マンハッタン西部のチェルシー地区周辺をほぼ南北に通っている。月曜は朝一で宿からハイライン南端まで地下鉄で移動し、そこから北に向かって全長を一気に歩いてみることにした。

入り口の階段から上に登ってみると、高い場所に来たことによるワクワク感と、地上の自動車の喧騒から離れたことによる落ち着きを同時に感じる。狙い通り人は多くないが、寂しい感じでもない。コンクリートの板を敷き詰めたような舗装と多様な植生を基本の要素として、デザイン密度高いランドスケープが続いていく。全体的に広すぎない歩道の幅などは絶妙と思える。進んでいくにしたがって、舗装と植栽のバランスは変化を繰り返し、座って街を眺められる小広場が現れたり、ハイラインに面する建物の壁面に絵が描かれているアートが現れたり、不意に西のハドソン川や北東のエンパイアステートビルが望めたりと、場所性がリズミカルに変化しながら道が続いていく。退屈しない道のりだ。ジェームズ・コーナーを中心とした設計メンバーも楽しんでデザインしたのではないかと思う。引き合いに出すのはおこがましいが、自分も卒業設計では全長1キロほどの細長い敷地を設定していて、周辺の特徴に応じてアドリブをきかせるようにして設計していく作業は面白かった。

散策も終わり近づいた北部の操車場手前では、オラファー・エリアソンによるアートプロジェクトの看板が立っていた。エリアソンといえば以前ニューヨークに巨大な滝を作り上げ、ロンドンのテート・モダンに太陽を出現させたアーティストという印象が強かったので、今回はどんな大胆な試みをするのかと思って隣にある「アート」か目に入ったときは驚いた。大人の人間の身長ほどもあるレゴの量塊ができていて、誰でも自由に付け足してどうぞ!という参加型のプロジェクトだった。時間の都合で自分はレゴには加わらなかったけれど、子供たちがせっせとブロックを積み上げている光景は、誰にとっても自分の場所と思える公園として再生されたハイラインにとても似つかわしく思えた。