Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

私たちの敷地たち

ある場所では、天空率を有利にするために、敷地の少しでっぱった部分を削って敷地を縮小した。

ある場所では、平面的なでこぼこの激しい不整形な敷地のため、どうしても無駄な空きスペースが多くなり、しかも天空率の条件が厳しく、計画建物は四角い箱が中途半端に斜めに切り取られた、見るからに不自然な形状にしかならなかった。

ある場所では、当初の計画敷地に加え、隣地を取り込んだ一体の大きな敷地と、隣地だけの敷地についても検討を依頼された。同じ街区で建てるのでも、敷地面積と形状によって計画建物の階数や坪単価にだいぶ差が生じることの不思議。あと、特定道路からの距離による容積率の緩和を見落とすという初歩的なミスをした。

ある場所では、順調に検討が進んでいたと思いきや、一旦作成した図面に対する変更指示や追加依頼が事業者から次々に来るので。

ある場所では、大通り側だけが部分的に高層となる断面構成となり、避難経路の確保について法規の専門家の確認を要した。

ある場所では、立地の特性上、敷地目いっぱいに建物を建てたいので、早期に施工可能性の裏付けをとる必要があった。この箇所は200で足りるのか、あちらは700あれば大丈夫か。

ある場所では、外装の想定が悩ましい。安く見込めば後に設計の自由度が下がってしまうが、高く見込めばそもそも入札に勝てないかもしれず。

ある場所では、オフィス建築より豪邸でも建ててはどうかと思える小さな敷地での検討を依頼された。屋上の交流スペース確保のための設備計画を考える。

ある場所では、実現性の低い大規模な建築計画のための法的与件を整理する。たまには夢物語も悪くない。

ある場所では、日影規制が相当な足枷となって建物がわずかしか建てられない。予想以上の厳しい条件だが、その地域の落ち着いた雰囲気が維持されている鍵のひとつに触れたように思い、妙に納得された。