Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

いらないことばかり(イスラエル、ヨルダン旅行記 6)

9月16日

出発当日は午前中だけ仕事をして午後から休暇を取り、夜の飛行機に乗る予定。ありがたいことにいつも通りすっきりと起床でき、順調に出社。計画していたところまで仕事を進めて一段落させることができ、心おきなく午後からの休暇に入れる。曇り時々雨のしっとりどんよりした空もようだが、暑くて汗をかくよりは長旅に出る日の天気としてはましである。

十三時に退社して帰宅。シャワー、荷造りの仕上げをして出発。日が暮れゆく千葉県ののどかな景色のなかを成田エクスプレスで成田空港へ。チェックイン、夕食、出国審査と万事順調に進み、乗換地点のアブダビ行きの飛行機に乗り込む。離陸直前のシートで日記兼場合によってはブログの下書きを書くも、さすがに落ち着かず考えもまとまらず気持ちは急く急く。でも、あがきとしての書くという行為、気休め作用に期待を込める思いもあり。今のところすべて順調にきている。今日だって時間に常に余裕をもって行動できているし。しかしなんか絶対この旅行の計画はうまく運ばなさそうだという思いがよぎることも多く、そうかと思えばなんとかなるさと自分を鼓舞しようとしたりする。どちらも根拠は薄弱なのだが。左隣の日本人男性は旅行でミラノに行くのだと言う。少しでも人と話すと落ち着く。右隣の外国人女性は『1Q84』のドイツ語訳を黙々と読んでいる。いかにもヨーロッパにおもむく風情のリラックスした両隣を見て、こんな旅行計画しなければよかった、すべて面倒くさいし、との思いが強まったのは事実だが、自分にとっては大学三年生の一か月間のフランス、スペイン旅行にも匹敵するチャレンジであることも再々々々確認したく、きっと乗り越えたときには一段二段成長できていると信じて…という堂々巡りの平衡点に今もまたたどり着いてもうすぐ離陸だ。

離陸直前までの、旅行に対する希望と旅行計画を立ててしまったことへの後悔がシーソー的に入れ替わり立ち替わりしていた状態からはうって変わって、機内ではこれから丸一日前後の長い移動をはじめとした煩雑なあれこれを思ってほとんど絶望的な気持ちにすらなってくる。ああ、せめてヨーロッパにすればよかった、いや、それどころか日本でゆっくりしているのが一番だ、わざわざ中東におもむくなんて自分はばかだとそういう思いが断然優勢。国際線の飛行機ではいつものことながらなかなか眠れず今回も熟睡は一睡もできず、目をつぶってじっとしているのみ。あんな狭い一人あたりのスペースに十時間も縛りつけられているなんてやっぱり根本的に何かおかしいと思うに加え、あんなに映像や音楽のコンテンツを用意して乗客の退屈を紛らわそうと企てているのも、なにやら無駄にいらないことばかりしている気がする。そんなことより、せめて新幹線や特急列車と同程度くらいにまではエコノミークラスでも座席のスペースを広げてほしいと切に願う。そして今までもきっとこれからも世界中の空で無数に発生している、トイレに立つときの「スミマセン」をなくしてほしい。人間が最初にこの願いを抱いてからもうどれほどの年月が過ぎたのだろう。