Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

03. Walking Messi Trip

2008年9月、大学3年生の夏休みに1か月間、フランスとスペインに初めての海外一人旅に行った。今回のデンマーク旅行はそれからちょうど10年となる。この間、自分にも社会にも実に多くの変化があった。しかしリオネル・メッシは10年前から世界のトップで活躍し続けている。当時、バルセロナにある色んな国々から来た若者でにぎわうユースホステルのラウンジの画面が、退団したロナウジーニョの跡を継いで10番をつけてプレーするメッシの姿を流していた。2018年の9月、デンマークのバス車内の無料の新聞は、メッシのハットトリックを一面で伝えている。

そんなメッシもプレースタイルは変化し、近年は試合の時間のほとんどを歩いて過ごし、ここぞという決定的な場面でのプレーに注力する傾向がある(ただし「散歩」の時間はただ歩いているのではなく、ゲーム全体の状況をスキャンしているのだという)。要するに力の入れどころを見極める、めりはりをつける、ということなのだが、なかなか示唆に富むスタイルでもある。学生時代にはとにかく体力の続く限り初めて訪れる地での街歩きをがんばり、しかしどこかで力尽きる、ということを繰り返していた自分の旅も、「走らないメッシ」の方法を最近は積極的に取り入れようとしている。疲れたらすぐに止まる。食事はしっかり。移動は余裕を持って。量より質。横着になったのをあれこれ理屈をつけて正当化しているわけでは決してない、と自分に言い聞かせながら。そもそもが真面目すぎた。

また、言葉通りの意味でもコペンハーゲンはゆっくり歩くのに適した街だった。長袖で歩いてちょうど汗をかかないくらいの気候。都市のつくりも平らで歩道は広く、世界に先がけた歩行者天国として名高いストロイエのみならず、市街地の古い道から運河沿いの再開発エリアにいたるまで歩行者空間が良くネットワーク化されている。歩きやすくて、疲れない。素晴らしい建築物も多いのだが、その上段のアーバンデザインやランドスケープが非常に進んでいる。流行歌の歌詞のように、どこまでも歩いていける気がするのだった。「今日は初日だからずっとストロイエからアマー島や運河を歩いたよ。ずっと平坦で歩きやすかった」夕方アパートに帰ってセリーヌに言うと、おそらく人の上に立つ素質のある彼女は、即座に「でしょう!」と全面肯定してくれた。

そして、デンマークは自転車大国でもある。歩道と車道の間の自転車レーンを、始終、本格的な自転車に乗った市民が流れてゆく。電車にも自転車を持って乗り込める。古くからの文化なのか、環境問題や健康への関心の高まりに伴って自転車を重視した都市デザインが整備されていったのか、そのあたりの起源はわからないが、行き交う自転車がコペンハーゲンの街の風景をとても生き生きしたものにしていることは明らかだった。自分は今回は乗る機会がなかったが、ぜひ次回以降は Cycling Messi Trip を実践したい。

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