Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

イスラーム幾何学芸術展

イスラーム幾何学芸術展」を観に行ってきた。そもそもは、フェイスブックで何人かの友人が関心を示していて、その存在を知った展覧会だった。

武蔵小杉駅すぐ近くの、川崎市の施設の一室が会場で、入場は無料。ヒジャブをまとった、日本語と英語の話せる女性がホストとして案内している。会場は小規模ではあるけれども、ちょうど居心地の良い飲食店みたいな密度感。家族づれも何組も訪れている。展示物は、上に掲載した写真のような幾何学模様のかずかずで、糸でできている。柔らかい質感と色彩で描かれる複雑なパターン、それらを秩序づけている透明な補助線が浮かんでは消える。

大学3年生の頃、隈研吾さんがとあるレクチャーの中で話していたことを思い出した。近代以降のマスメディアの発達により、建築は、書籍の隅に印刷された小さな写真でも人目をひくような、アイコニックな形態が盛んになった。たとえばザハのような。しかし、自分(隈さん)は、形態ではなく、テクスチャーにアイコン性を持たせることはできないかと考えている、、、

今の自分がイスラーム芸術に抱く親近感が、この隈さんの話のアナロジーで理解できる気がする。聖書の場面を、絵画や彫刻に描かれ象られた人物たちがいわば演技してみせるキリスト教の造形にいささか食傷気味の感もあって、一方イスラーム芸術の、偶像崇拝禁止の制約下で発達した、一見しただけではメッセージ性の有無が不明という特質に、新鮮さや開放感を見出したくなる、そんな時期。