Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

映画復活か

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台北に旅行していたときの宿のホストだったチェンは、僕と同じ歳くらいに見える物腰柔らかな男性で、3泊お世話になった間に話をする時間がけっこうあった。到着した夜は近所のおいしい肉そば屋さんに夕食に連れて行ってくれたし、2日目と3日目の夜はリビングのソファと仕事用椅子にお互い腰かけて、30分か1時間くらい雑談していた。彼は映画の脚本を書いているらしく、「一人暮らしの男がいる。そこにある日、見知らぬ少年がやってきて一緒に暮らすことになり…」といったストーリーらしい。ヒュー・グラントの映画にそんな話があったね」と僕が言うと、「そう、アバウト・ア・ボーイだね。でもそれと同じにならないようにしたい」なんて話していた。

リビングの幅の広い本棚に数多くの映画の本や雑誌が並び、反対側にはヒッチコックの色んな映画の場面をコラージュしたポスターが飾られている。「パリに留学していた時はシネマテーク・フランセーズヒッチコックキューブリックの企画展が開かれていて、たくさん見たよ。でもそれ以来映画は全然見なくなったなぁ」と僕が言うと、脚本家は「それは、留学のときに一番いい映画たちを見終わっちゃったからだよ」とのこと。そんなやりとりがあったりして、チェックアウトの朝にはお土産に、色紙サイズのヒッチコックの映画のポスター(日本語の)を贈ってくれた。ありがとう、チェン。

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日本に帰ってきて、元日にはなでしこサッカーの皇后杯の決勝戦日テレベレーザINAC神戸レオネッサを、4日にはイングランドプレミアリーグの首位対決、マンチェスター・シティリヴァプールを見た。どちらも非常に充実した内容の試合で、昨夏のワールドカップ終了以来離れていたサッカー観戦を、ヨーロッパのシーズンの後半戦に合わせてそろそろ再開していこうと思わせてくれた。

マンチェスター・シティについてはアマゾンプライムビデオで配信されているドキュメンタリー番組が「めちゃくちゃ面白い」と何人かの友達から勧められていた。普段の生活では音声メディアに押されっぱなしで、アマゾンプライムは契約しているにも関わらず動画は見たことがなく、「まだご利用になられていないサービスがあります」と言う広告メールが虚しく届くに任せていたのだが、これを機に見てみることに。「オール・オア・ナッシング」という番組で、最後は勝点100に到達する圧倒的な強さで優勝を果たした昨シーズンのマンCを一年間密着取材したもの(その強さを大げさに例えるなら、陸上競技の男子百メートル走で、8秒台のタイムで優勝するくらいの異常さだろうか)。たしかに友人たちが褒めるだけある、驚くほどクオリティの高いドキュメンタリー番組だ。どのカットの映像も美しく、監督、選手のオンオフの表情を捉え、のみならず経営陣、裏方のスタッフ、市井のサポーターのインタビューまでもが丁寧に描かれている。平日の夜や休日の空いた時間に少しずつ全8話の視聴を進めていくのは至福だった。

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台湾での映画トーク。サッカーをきっかけとして回復の兆しを感じさせる映像コンテンツを見る習慣。これらが、映画をまたぼつぼつ見始める生活に合流していくような、しないような。