Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

ル・ランシーの教会から(つづき)

周知のように、この一面のステンドグラスは、鉄筋コンクリート構造という当時は新しい技術によって可能になったもので、フライング・バットレスという「タネ」すらない光の壁は美しい。でも、ステンドグラスを一度括弧に括ってコンクリートの構造だけを見てみても、とても美しいと思います。

高さ約11m、下部で直径43cmの柱は聞いたとおり繊細なプロポーションをなしています。それから天井。左右の側廊部(というのかな)の天井は柱のスパンごとにリズミカルにヴォールトが続き、中央では短編方向に長いヴォールトが架かっています。また、この中央の天井にはステンドグラスのコンクリートのパネルのモチーフが等間隔であしらわれています。
シンプル、でありながら単調でない天井は、内部の優しく包み込まれているという感覚に大きく貢献していると感じました。

教会を出てからはしばらく周辺の街並みを歩きました。いかにも郊外の風景が展開していきます。
あの建築マップによると、ル・ランシーの教会は「20世紀初頭の工業化社会を受け、工場労働者が流入し、人口が急増した地域に新たに建てられた」。教会ができたのが1923年。当時の新興地域に、当時の新しい技術によって教会が建てられたこと、地域が成熟していく過程のワンシーンとして残っていることにも、静かな感動を覚えます。

留学している間に、ぜひまた訪れようと思います。
では、胃と身体を大事に頑張ってください。