Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

少しずつ

スタージュの3週目が終わった。

カトリーヌはフランスでは有名で活躍しているだけあって、デザインは個性的だ。ランドスケープデザインは幾何学的平面をよく使うイメージがあったが、彼女は自然界のパターンを利用するのが好きで、これは新しい考え方だそうだ。伊東豊雄のランダムな開口のパターンなどのやわらかいデザインに似ている気がする。

だが、「上司」としてはやりにくい。人を使うのが上手いタイプではなく、全てを自分でコントロールしたがり、抱え込むタイプだ。事務所の規模が驚くほど小さいのもそのためだろう。そして、言葉の問題を差し引いても指示はわかりにくく、そもそもあまり説明もしない。僕もすでにいくつかの「ミッション・インポッシブル」を与えられた。

僕も働き始めて最初の頃は怒られるばかりだったが、少しずつ仕事にも慣れてきた(と思いたい)。仕事自体はパソコンでの単純作業が多いが、図面や画像の加工でどれくらい大雑把な、あるいはどれくらい細かく具体的な表現が求められているのか、だんだん要領が分かってきた。つまり自分のやることがクリアに捉えられるようになってきた。

2秒くらいで描いたスケッチを参考に立面図にテキトーに木を描くこともあれば、「木の幹が冬に色づく低木」の画像をまとめることも。試しにあえて葉っぱが紅葉する種類の画像も集めると、予想通り、幹が色づくのがここでは大事なのだと指摘された。

カトリーヌの説明がわかりにくい、詳しくない、あるいはしないからこそ、イメージをくみ取る必要がある。これは大変だが悪いことではない。逆に、人を使うのが上手い人の下につくと、使われること自体が快感になってしまい、自分の作業を省みない危険がある。そのあたりのバランスが田根さんは良かったのだが、今度のカトリーヌはやや極端な性格なので、基本的にはコミュニケーションに苦労する摩擦熱のようなものから学ぶ意識でいようと思う。