Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

佐渡金山

24日からの佐渡島への調査旅行は天候にも恵まれ、食事も充実していて楽しめた。佐渡は江戸時代頃から金銀山によって栄えた歴史がある。今は採掘は行われておらず、佐渡金山は観光施設となっていて、盛衰をしのぶことができる。調査は主に金山周辺の相川地区をひととおり見学し、海沿いの一街区の文化的景観を調べたが、今日の記事ではまず金山について。

「道遊の割戸」。採掘によって山がV字に削られている、佐渡金山のシンボル。

現在公開されているかつての坑道は、詳細な調査によって、江戸時代の採掘の様子がリアルに再現されている。鉱山労働者の人形が「早く外に出て、酒が飲みてえ。…馴染の女にも会いてえなあ」なんて喋ったり。過酷な労働に、見ているこちらも気圧される。

近くの鬱蒼とした山の中にある鉱山町の跡地にも行った。今では一軒の建物も残っていず、当時の町の様子も詳しくはわかっていないが、こんな場所で一体どうやって暮らしていたのか。伊藤先生が何度かコメントしたように、「想像を絶する」生活と労働の環境だ。

現代の自分の身の回りの価値判断からはとても出てこない発想からできた場所に出会えたとき。それが、調査にでも娯楽でも、旅行にでかけて、ここに来てよかったと思えるときのひとつで、佐渡金山もまさにそれだったと思う。