小布施の修景
2012年があけました。今年も宜しくお願いします。
長野県松本市の祖父の家で家族で過ごしたお正月。三箇日には一家でレンタカーで小布施(おぶせ)町に出かけた。長野市の隣にある町で、松本からは車で2時間ほど。小布施は小さな町ながらも歴史遺産を活かしたまちづくりの好例として名前はなんとなく知っていた。実際に訪れてみると、雪の降る厳しい天候だったにもかかわらず、おぼろげな認知は確かな賞賛の気持ちに変わった。
町の観光の中心部は公共の外部空間や景観を統一するという欧州流のコンセプトを和風のデザインテイストで実現したような、大変質の高い町並み。規模と地理からいえば長野市の郊外になりさがるくらいが関の山だったはずなのに、ここまで徹底できるとはすばらしい。
まちづくりには地元の建築家の宮本忠長さんが「修景の手法」「ソトはミンナのモノ、ウチはジブン達のモノ」等を理念に、1970年代から一貫して関わり続けているらしい。そういえば槇さんの代官山ヒルサイドテラスも四半世紀をかけて、高く評価される街並みを作ってきたもの。建築(家)が地域と本気で関わろうとするときに心得ておくべき時間の感覚を示している二例であるように思われる。