Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

印象に残っている2冊

『わが友マキアヴェッリ』を2か月ぶりに読み始めたが、感銘を受けそうな本をあえて途中で読むのをやめて、想像を刺激するという読書術はあるらしい。たしかに、前にも半分ほど読んで中断して、数か月後に最初から読み通して強く印象に残った本がある。しかもたまたまそれらが、今パリを見るときの大きなヒントになっている。

ひとつは松浦寿輝の『エッフェル塔試論』。エッフェル塔を建設技術やら時代背景やら幾多の面から分析している。ページをめくるごとにエッフェル塔を徹底的に読みつくそうとする、また論を築いていこうとする姿勢と知性に感服の思いが高まっていく。

もうひとつは青木淳の『原っぱと遊園地』。これは建築家である著者の設計論が語られている本で、ディズニーランドなどのテーマパークと、パリの街中によく置かれているメリーゴーランドが比較された一節にはっとさせられたのをよく覚えている。本は東京に置いてきたので正確には覚えていないけれど…

「一方に実相から遠ざけ単一の相に追い込む遊園地があり、もう一方に都市が異なる相の綾織りであるという実感をいっそう強める遊園地がある。」

パリにいていつも感じるのは、回転木馬だけではない、あらゆるものがこの実感を強めるはたらきをしているということ。パリを言い当てて青木淳のこの指摘にまさるものはなしと思う。