Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

坂の上の雲という名前

自然界には実に多様な空間があり、例えば「霧」など、それ以外には呼びようのない名前がつけられているものがある。人間の作った空間にも、ブルネレスキやミケランジェロの「大ドーム」など、数は少ないがそのような独創的な空間がある。....そういうわけで、ぼくは空間の名前に興味を持つようになった。...
でも、いつも空間に名前をつけたいと思っているのではなく、空間が、名付けられるのを要求するような独創性を持っているかが重要なのだ。....

建築家の西沢立衛(りゅうえ)がこんなことを書いていたが、司馬遼太郎の小説の『坂の上の雲』というタイトルを聞くときに、この文章を思い出す。

坂の上の雲」とは、まぎれもなくビジュアルイメージ、空間のイメージ。明治という独創的な歴史空間があって、それが作家に書かれることを、名付けられることを要求したのだと考えることも、できると思う。小説なのだからタイトルがつけられるのは当然だが、あの壮大な物語の題名に、空間のイメージが託されたことが興味深い。

では、今の時代は、50年後の司馬遼太郎になんと名付けられるのだろう。そんなこともほわーんと考えながら、ドラマを見てみては?