Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

ヴィーナスとニケ

先週書いたように、ルーヴル美術館に少しずつ通っている。古代ギリシャ美術では、やはりミロのヴィーナスとサモトラケのニケが一番強く印象に残った。自分も凡人だなあ。もっとも、展示のされ方からして、明らかにこの二つは特別扱いされているのだが。

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ミロのヴィーナスは、両腕が失われていることもあって、かなり不安定で不自然な姿勢をしている。これは予想以上!まわりの彫刻と比べてみると、だからすごく動的な感じを受ける。ニケも、頭部と両腕が失われているがために翼の存在感が異常なくらいに大きくなり、ヒロイックな性格が最大限にまで強まる。

理想の美を追求したといわれるギリシャ美術にあって、「五体不満足」な二体が、最も人々を魅きつけているというのは面白い。彫像から腕や頭がなくなったのは偶然だが、でも、最初から不完全でいいのではなくて、完璧を目指したからこそ、アクシデントがこの上なく幸運なものになったのだろう。

建築の人は、直接の関係はないけれど、堀部安嗣が自身の作品集で「高貴にして寛容」という短い文章を書いているので、見てみてほしいです。古代のギリシャの劇に由来する(たしか)、非常に味わい深い言葉。