Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

ALFRED HITCHCOCK 2

前回ヒッチコックと建築について書いたようなことは、基本的には彼の代表作に特に当てはまるものであるとは思う。すなわち「裏窓」「めまい」「サイコ」「鳥」そして僕はまだ観たことがなく、今回も観られずに終わるのが残念でならない「北北西に進路を取れ」といった、ヒッチコッキアンと呼ばれるファンや映画作家を耽溺させる映画たち。

さらに今回、彼がハリウッドで名声を確立する以前のイギリス時代のマイナーな作品も観る機会を得られたことはありがたかった。「リッチ・アンド・ストレンジ」はかわいらしい小品。「ふしだらな女」は、始めて観たサイレント映画だったけれど、のほほんとしていて和む。


Rich And Strange (1931)

そして強調したいのは、こうした感銘が、大勢の観客が集まった劇場で観たことで、また特集によりたてつづけに観たことで、何倍にも強められていると感じること。ヒッチコックは自分の映画中に必ず少しだけ自らエキストラとして登場するのだが、その場面になるとくすくす笑いが起きたり。そんな映画と観客の豊かなコミュニケーションを目の当たりにした。

こうした映画と観客の幸福な関係は、日本にも昔はもっとあったのではないか。そう考えると、現在の日本から地理的に離れた場所に来ているという感覚とともに、時間的に遡ったところに来ているという感覚も、おぼろげに感じたりする。