Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

バースと「三日月」(イギリス旅行記 5)

ロンドンから日帰りでバースへ行く。古代ローマの公共浴場の遺跡などがある人気観光地だ。

昼過ぎにバースに到着。山あいの地形のなか、はちみつ色の街並みがかわいらしい。さっそくローマン・バスに行く。この遺跡は街のど真ん中にあって、現在では当時より地面が4メートル上がっていることで、隣の広場と遺跡との段差がついていて面白い。だから本当は入場料を取らずに、パブリックスペースとして街と連続すると豊かな場所になりそうだ。

入場料を払って入った遺跡だが、あまりにも「博物館」然としていて閉口してしまう。順路のサイン、照明、床や間仕切りの素材、そいつらが全体として発する雰囲気がだ。ローマの一員として自らを位置づけたいのはわかるが、遺跡はなるべく手を加えず資料館は隣に建てるとか、とにかく他にやり方があるだろうとつっこみたくなる。



さて、次に北へ上ってロイヤル・クレセントを見に行く。1775年、ジョン・ウッド(息子)の設計。クレセントとは「三日月」の意味。弧を描くように湾曲したテラスハウスの集住形式で、イギリスの街でよく見かける。

特にこのロイヤル・クレセント、なんて美しい建築なんだ。おおらかなスケールで完璧に均整の取れた外観に加えて、地下階の庭など各住戸の表出もあり生活感も感じられる。そして、こののびやかな建築は、道路を挟んでその前にひろがる傾斜した芝生の地形、さらに大きく見ると緩やかな谷を挟んで山と正対するという地形の魅力を再発見するためのよすがともなっている。