Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

La Nuit americaine 1


La Nuit americaine (1973)

月曜日は19時でスタージュをあがってから、「アメリカの夜」を観るためにシネマテーク・フランセーズに直行した。フランソワ・トリュフォーの監督による1973年のフランス映画で、アカデミー外国語映画賞を受賞した。

邦題では「映画に愛を込めて アメリカの夜」となるこの映画は、映画作りの現場を描いた映画で、トリュフォー自ら映画監督に扮している。僕の大好きな映画であり、卒業設計のときも隣の三堀さんのブースとを仕切る衝立に、スケジュール等と一緒に貼っていたのだ。モチベーションを高めるべく、トリュフォー演じるフェラン監督の言葉を紙に書いて。

さて、なぜか今日は無料だったチケットを買って場内に入る。すると上映前に、「アメリカの夜」の主演の一人であり、10年前に亡くなったらしいジャン・ピエール・オーモンへのオマージュと銘打って、トークショーの場がもたれた。人懐っこい彼の微笑み顔の白黒写真が大きく映されたスクリーンを背景に、ゆかりのある人たちが生前の彼の手紙を読み上げたり、思い出を語ったりしていた。

ゲストの中には「アメリカの夜」に出演した女優のナタリー・バイも招かれていた。これはなんと!映画の中でフェラン監督の右腕ともいえるスクリプターのジョエルを演じた、さばさばとしたキャラクターで映画への愛をおおらかに体現していた、ナタリー・バイその人ではないか!「映画のために男を捨てても、男のために映画を捨てる気はないわ。」この名台詞は、彼女の口から放たれたのだ。

40年近くが経ち、今ではカジュアルなかわいいおばさんという感じだった。もっとも演技かもわからないけれど。「アメリカの夜」の出演者たちは映画への愛を体現したが、トークショーのゲストたちは話が長いというフランス人の悪癖を体現することはなかった。オマージュはささやかに温かくなされ、いきいきとした115分が始まった。