Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

ラカトン&ヴァッサル

5月からのインターンで、カトリーヌ・モズバの他に最も興味があったのが、建築家ユニットのラカトン&ヴァッサルだった。メールも送ったが、来月のインターンはもう埋まっているとの返事が来たので、カトリーヌの事務所に行くことになったいきさつがある。

ラカトン&ヴァッサルが「できるだけ安く、できるだけ広く」建築を作るスタンスをとっている異色の建築家だと知ってはいたが、今日パリ郊外の展示施設を見てみて、まさかここまで、と驚いた。




(図面はlacaton & vassalのホームページより)

写真では、よくありがちなシュッとした格好いい建物に見えるが、実際格好いいが、使われている材料は何の変哲もない安物ばかり。銀色の部分はフツーの金属の波板。半透明な部分もフツーのポリカーボネートの波板。ほとんどプレハブである。しかし、デザイン上の美学もさりげなく込められている。

大金をかけて作られたハコモノ建築であれば多くの場合どこか息の詰まる雰囲気も備えてしまう気がする。一方でL&Vの建築はそんな威圧感からは自由で、実に素っ気ない。「建築なんてこんなものだよ」「こんな程度でいいんだよ」と諭されているようで、考えさせられる。材料は安いが、形は単純に格好いいし、空間のスケールや光も、使う人にとって気持ちいいと思われる。

国際的なビッグスターではないが、彼らの貫き続けているスタイルは、資本主義や流行廃りの波にあっさり飲み込まれてしまうのを避けるためのヒントを含んでいるのではないかと感じている。