Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

ふたたびコンセルヴァトワール

何度訪れても面白い建築だ。
3月の日記で、「内外共に多様な居場所が用意されていて…」と好感を表した、クリスチャン・ド・ポルザンパルク設計のコンセルヴァトワール(パリ音楽院)。部外者がうろつく少し気まずいスリルも味わいつつ、今度は単純に建築の見学の目的で行ってみた。


中で過ごす時間に比例するように、多様な居場所が仕掛けられた豊かな建築という印象が強まっていく。なにより、間(ま)の空間の豊かさだ。大小のホールや練習室、事務室など、音楽学校の機能としての150以上の部屋がある、そのただの残余空間ではなく、よく検討された空間のネットワークが仕組まれている。

今、試しにコンセルヴァトワールの平面図の廊下や階段、ちょっとした休憩スペースなどのサーキュレーションを色鉛筆で塗ってみると、それぞれの場所のスケール、採光や視線の抜けが変化に富むように丁寧に作られていたこと、色んな場所で学生や先生たちが会話し議論する姿が似合っていたことが思い出される。


こちらはコンセルヴァトワールと対になってラ・ヴィレット公園の南端を占めるコンサートホール「シテ・ド・ラ・ミュジック(音楽都市)」。コンセルヴァトワールとはスケール感は違えど、ホールなどの大きなボリュームの間が、光の降り注ぐ街路のように作られている。僕が行ったときは少年少女の合唱団が街路で練習をしていた。異常に上手かった。

「間(ま)の空間」が、骨格であり(社会)基盤であることは建築や都市といったくくりを超えて当てはまることだと思うが、それをここまで真摯に作りこんでいることには敬意を感じる。また、学生の課題では、実際の建物として実現しないとわかっているためもあるのか、誰もここまで丁寧に考えないので、これぞプロの作った建築!という思いにさせられる。