Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

北欧のくうき(スウェーデン、フィンランド旅行記 13)


ユヴァスキュラでの2泊を挟んで、最後の2泊はまたヘルシンキにで過ごした。

時計の針は夜の11時を指しているというのに、外はまだ黄昏時だ。白夜。ヘルシンキよりはずっと南の日本やフランスから旅に来た僕としては、「夜遅くになっても日が沈まない」というよりは、「夕暮れどきから時間が止まっている」という感覚の方がしっくりくる。

滞在していたホステルは街の中心部にあった。午後の7〜8時にダイニングキッチンで夕食をとり、あまりどこに行くあても無いものの、自然と外に足が向く。そしてしばらく周囲を散策すると、結局、海岸に沿ったカイヴォプイスト公園あたりに引き寄せられる。

一番いい季節に来たことは確かだろう。冬の様子はあまり想像したくもない。パリですら灰色の寒さ、いわんやヘルシンキをや。それでも、公園には老若男女さらに鳥たちも思い思いの時間を過ごしていて、みな太陽への感応性がとても優れていてそれを彼らとしては自然な当たり前のこととして生活しているように見えて、こんな風に人間・都市と自然が調和するあり方が世界にはあるのだなあと、北欧の旅を通じて毎日、静かな感動をおぼえていた。

1年間の留学の最後としての北欧の旅、周りの風景から自分の記憶から、抽象具象何も彼もがまろやかな空気の中に溶解していってしまうような不可思議な気分は、いつまでも忘れられない豊かな感覚だった。