Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

おかしな予備校壺溪塾

僕が浪人していた一年間に通っていた壺溪(コケイ)塾は、熊本にだけあるローカルな予備校だが、地元ではメジャーで、熊本城のふもとの地域、夏目漱石の旧居のすぐ近くにある。1930年に設立された、日本で二番目に古い予備校だ。

予備校なのに一風変わっている。週に一回体育の授業があり、茶道も選択できるとか。4月には阿蘇に親睦遠足があり、夏には伝統ある塾長杯バレーボール大会も盛大に開催される。

建築としても大変面白い、ということに、大学に入って建築を勉強し始めて気がついた。長い年月の間に増改築が繰り返され、道路をまたいだりしながら6号館までの分棟配置になっている。間に合わせで校舎を建てていったのだろうが、都合良くいい具合に、だべれるような半屋外がくびれながらつながる。

担任だった上野先生に久々に顔を見せて、上記のことを話したら、「職業柄見るところが違うねー」と笑われながらも、言われてみれば確かに、との共感も。「浪人の期間は人生のウラ面で、ウラ面とは面白くて味のあるものだ」とは上野先生の言葉だったが、僕にとっては建築においても、小学校時代から基本的に平凡なハコの中で暮らしてきた経歴に深々とくさびを打ち込むような、塾生に生きられた予備校を地でいく存在が壺溪塾なのだった。