Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

築地本願寺

研究室の人のオーガナイズで、築地本願寺の修復中の内陣の見学に行くことができた。正午に築地に集合し、昼食に寿司を食べてから本願寺へ。

昭和9年、建築史家の伊東忠太の設計による建物。珍しいインド様式が採用されている。コンクリートでガチガチに堅固な構造を実現している一方で、表面は木や石の表情に見せるための腐心の跡が至るところに施されていて、一種異様な雰囲気を感じた。

修復作業中の内陣では現場の建設会社の方が懇切丁寧な説明をしてくださって、大変面白かった。さらに彩色や漆塗りの職人の方の話も聞けた。漆塗りは何十回もひたすら下地を塗るだとか、はけの毛は人間の髪の毛でないとだめだとか、専門的な話の数々は聞いていて飽きない。

しかし、建物全体としてはどう評したらよいのか正直はかりかねている。マニアックな細部にばかり注目すれば象牙の塔に堕し、化粧や装飾をまがい物だと切り捨てれば非寛容な建築観の袋小路に陥る。まだまだ見る目がないな。たとえば「伊東忠太を知っていますか?」と問われて、自分なりの切り口で語れるくらいになりたいものだ。