Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

岸信介邸


経験則から行って、訪れるのが大変な場所にある建築は印象に残ることが多い……。

合宿では三島で解散した後、学生ら何人かで電車を乗り継ぎ御殿場に移動しタクシーに乗って、岸信介邸の見学へ向かった。吉田五十八(いそや)の設計で1969年に完成した、いわゆる近代数奇屋と言われる住宅だ。教科書等で知ってはいたが、実際に見るのは初めて。

一見するとただの和風のデザインだが、細部に凝らされた工夫が面白い。天井は竹と塩化ビニルの細い管が組み合わされて仕上げられていたり、従来なら木の部材が必要なところを省いて軽く見せるためにスチールを用いたり。何を真正なものとして再構築していくかという判断の束がそこにある。伝統の再解釈という言葉は何かとよく耳にするけれど、岸信介邸において実感として感じることができた。

東京での吉田五十八の建築は世田谷の五島美術館がある。これまで存在は知っていたが特に足が向かなかった。これを機にぜひ行ってみようと思ったが、今年の10月19日まで改修工事だとか。間が悪いが、頭の隅で関心は持続させていよう。