Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

聞く力

ガラガラ…
「ごめんくださーい。…こんにちは。私たち、大学の建築学専攻でこのあたりの町並みの歴史を調査していまして、もしよろしかったらお話を伺ったり、また差し支えなければ家の簡単な間取りをとらせていただきたいのですが……ありがとうございます。では、えーと、こちらにはいつ頃からお住まいなんですか?……」

街区調査ではこのようにしてできるだけ聞き取り調査を行った。空き家も多く、留守の場合もあったが、住人の方々はほとんどの場合快く話をしてくれ、昔の家屋の使い方や町の様子などの貴重な情報を提供してくれた。お菓子やコーヒーを出してくれた家もある。建物の全体の様子を把握するためにベランダから屋根の上に登らせてくれた方もいた。ここに載せた写真は屋根の上から撮ったもの。まるでヒッチコックの映画―「めまい」や「泥棒成金」―に入り込んだ気分だった。

こうして10軒ほどのお宅にあがらせてもらった。昨年よりも佐渡相川についての知識も増え、調査のポイントに対する理解も深まっていたことなどが、充実した調査につながったのではないかと思う。

そして調査に限らずより広く、留学や様々な経験を通じて自分の「聞く力」が向上したのだとしたら嬉しいことだ。それと関連するのか、最近、周りの人たちの人間性に対する自然なリスペクトが自分の心に何となく生まれ始めている気がしている。(また一方で、ブリジット・バルドーばりの軽蔑を感じる人たちもいるのだが。)