Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

KEYAKI GARDEN


そこに身を置いたときの居心地の良さという観点から見るならば、東京の中でも屈指の建築ではないか。

自由が丘と田園調布の中ほどのバス通りに建つ、堀部安嗣設計の'KEYAKI GARDEN'。地上階は数軒のテナントが入り、2、3階が住居となっている小さな集合住宅だ。決して恵まれた敷地ではないけれど、バス通りから引きをとって建物を配置することで喧噪から守られている。

先週の日曜日に行ってきてみたところ、前庭で小さなマルシェが開かれていて、僕も産地直送のオクラの詰め放題を楽しんだ。その後、庇の下のカフェの半屋外の席にしばらくいたが、外の猛暑が嘘のような涼しく気持ちいい空間だった。店員さんに話を聞くこともできた。建物の見た目の美しさだけでなく、使いやすさにも満足しているみたいだった。

さすがに住戸の中にまでは入れないが、2階の外廊下のスケール、素材の調和した空間なども素晴らしい。建築雑誌に載るような集合住宅は、建築を撮る人には喜びと虚栄心を、使う人には苦しみと忍耐を与えることが多い気がするが、'KEYAKI GARDEN'はそうではなくて、生活の豊かさを素直に静かに語りかけるように佇んでいる。