Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

帰省の機窓から

昨日から熊本の実家に帰省に来ている。晴れた日の午前の飛行機に乗り、窓際の席だったので、空からの眺めも楽しめた。写真は阿蘇の外輪山。大規模に窪んだカルデラの様子がよくわかる。

ところで、建築家で東大の先生でもある千葉学さんが、以前『新建築』に寄せた論文の中でこんなことを書いていた箇所がある。
「どこの国でも飛行機の上から見る農業の景観には感動する。それは土地から最大の生産を得ようとする人の営みを大地に定着させたものである。ゴルフ場が池や林を整備し自然を偽装しているのとは対照的に、農業景観は「幾何学の形=人工的」などといった短絡的な図式を超えてその土地の自然を炙り出している」
今手元に原文がないが、大意はこのようなものだったはずだ。同感である。

昨年イギリスを旅行した際、電車やバスでの移動中の窓外の風景を見て、なんと地形がなだらかなことかと強く感じた。あてずっぽうに場所を決めて、小さな穴を18個空ければ即ゴルフ場になりそうだな、と感じたものだった。そして、国土の大部分が山地という日本の自然条件にゴルフという競技はそもそもなじまないものなのではないか、とも。ゴルフそのものを非難するつもりは全くないが。

ウィキペディアでさっと調べたところ、イングランドでゴルフがブームになるのが1880年代、日本最初のゴルフ場ができたのが1901年らしい。これが仮に100年前にずれていれば、ゴルフの原理は残したまま、日本独自にアレンジされ、洗練されたものになったかもわからない気がする。

東京から九州に帰省するときは、陸路であれ空路であれ、風景を眺めていると日本は美しい国だと素直に感じる(首相のキャッチフレーズとしての是非は別としても)。山の一部がはげた姿として見える無数のゴルフ場は、そんな思いに水を差す。