Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

桜台コートビレジ

日曜日は田園都市線に乗って、横浜市青葉台、有名建築の「桜台コートビレジ」を見に行きました。駅からてくてく歩くこと20分ほどで到着。これやこの…教科書等でもよく見かけるギザギザの形の集合住宅が現れた。

設計者は内井昭蔵。この作品で1971年の建築学会賞を受賞しているようだ。「ビレジ」という名称からして時代を感じる。いまや時を超えて残り、これからも残していく価値を認められている建築だ。郵便ポストを見たところ入居率もかなり高い。



このギザギザの特徴的な形態は一見極端だが、実際訪れてみると様々なメリットをもたらしているとわかる。まず単純に各住戸の外に面した場所が増える。また、もし敷地に素直に従った方向に配置したら居間が西日を正面に受けてしまうが、それを避けて南に対して開けている。全体としては明快な構成形式を持ちながら、部分としては傾斜した地形に細やかに対応し、開放感とプライバシーの確保のバランスに腐心していることがうかがえる。壁式の構造に対しても、ギザギザの配置に基づく平面計画が有利をもたらしているようだ。

照明デザインなど所々にさりげなく独自のデザインも見られる。早稲田大学出身の建築家に多い、手仕事の痕跡の感じられる建築は結構好き。(遠くスウェーデンエストベリやアスプルンドの遺伝子が感じられる。)それらを含めて、天気が悪くて写真うつりはいまいちかもしれないが、天気が悪いくらいで建築の印象が損なわれることの無い建築の強さが際立っていた。