Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

南三陸町 2日目

南三陸町では、小さな小学校を宿泊施設に改装した建物に泊まっている。これは震災とは直接の関係はなく、海からは少し離れた、農地の広がる山の中にある。僕は「6年3組」に8人で泊まった。同部屋のメンバーの中にモノマネ芸人を目指している中学生がいていくつも持ちネタを披露して、その流れで部屋の皆が自分の特技を話すことになった。それで僕は、スラムダンクの漫画の神(じん)についての回想シーンの暗唱をした。

2日目は40人が漁業班と農業班とに別れての作業だった。僕は農業班に入り、午前は宿泊所の近所の水路の浚渫をする。修論で江戸時代の農民たちが玉川上水や分水の浚渫に苦労していたことを扱っていたが、思わぬ所で実体験することに。あれは腰にきますね。

昼食は炊き出し体験も兼ねて、ビールの缶で炊いたご飯を食べる。中身が空になった350ミリリットル缶に米一合と水を入れ、15分ほど火にかけると炊ける。食べるときは鋏などで缶の上部を切り取って外す。元小学校の校庭の青空の下でみんなで食べた昼食は美味しかった。

午後はキクイモを植えるための畝を耕したり、セメントを作って宿泊所の簡単な左官工事をしたり、薪割りの作業をした。震災復興とは直接の関係がないようにも思える作業かもしれないが、そんなことはないようだ。NPOの代表の方の「これからは時計を前に進める必要がある。そのための作業だという認識でいてほしい」という言葉がとても印象的だった。

宿で夕食を食べ、地元の人が津波の映像を記録したDVDを30分ほど観て、何人かの人が感想を話した。中にはすすり泣く人もいた。自分は内に秘めるタイプなので淡々と振る舞っていたが、「忘れない」という思いを忘れない意識をいつまでも保ち続けたいと思った。