Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

これは連休だろうか

五月の連休は一日は休日出勤をして仕事、あとはおおむね一級建築士試験の勉強で終わった。試験は7月末にせまり、最近とみに勉強の遅れを取り戻さねばと焦り始め、やや孤独なたたかいがこの先3か月は待っていそうだ。なお、会社の同期で2年目の今年に受験する人はほとんどおらず(僕は大学院時代のインターンシップが実務経験1年分に換算されている)、「まあ受かるでしょ」と軽くあしらわれる程度で、漫画に出てくるほつれた糸のようなぐちゃぐちゃ線のような気持ちになる。「困った」「何だかなあ」「とほほ・・・」「対処不能」といった感情を表すあれだ。

勉強をしているとつくづく、こういう試験というのはゲームだなと思う。あるルールがあってその枠の中でプレーしているという感覚。しかも、試験というのは目的ではなく手段なので、受かってもすごく嬉しいわけではないのだが、落ちればだいぶ不快だという厄介な性格がある。などなどネガティブなことを書き出すとキリがなさそうだが、建築の現場のために帰納できることを少しでも多くつかみ取って抜け出したい。今年に。

連休最後の日は「なぜ今日に限って…」と言いたくなる寒さと曇天だったが、さすがにどこかに出かけようかと思って、昼過ぎから小一時間かけて鎌倉に行ってきた。鎌倉には何度も行ったことがあるが、思えばこれまでまともに神奈川県立近代美術館を訪れたことがなかった。ル・コルビュジエの弟子の坂倉準三の設計で1951年に完成した、日本のモダニズム建築の代表作です。

外からの姿は見慣れていたはずだったが、中に入ってみると美術館の規模としては随分小さく、延床面積1,575㎡ってこれくらいなのね、という感じ。小さく、だいぶ古びてはいるけれどやはり美しい。単純な平面や鉄骨のピロティが鶴岡八幡宮の境内のなかでどう馴染むか、、、モダニズムの要素と古都鎌倉の場所性をどう調和させるかに設計者が腐心し、結果生まれた緊張感を美しく感じるのだと思う。館内では一原有徳(いちはらありのり)という戦後に活躍した版画家の展覧会が開催中で、こちらも良かった。石や金属を版とした版画は、当然ながら完全に二次元なのだが質感にあふれ、版が削られたり腐食させられてりして生み出された緻密な模様は何やら凄い迫力のある抽象性を放っていて、こうして世界にはまだまだいくらでも驚きがあるのだった。