Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

子犬とかジョコビッチとか in駒場

一級建築士の製図試験を無事に受け終わった。7月の学科試験の頃から「コロンビア戦に臨む日本代表のように絶望的」などと言い続けていたが、よくもここまでたどり着けたものだ。製図試験では自分の力をほぼ出し切れたとは思う。ただ別に完璧な図面が描けたでもなく、もしかすると大きな減点をやらかしている可能性だってあるので、たいして期待はしていない。まあ、結果はどうあれ一段落。

会場は学科試験と同じく東大の駒場キャンパスだった。緑豊かでのどか、これ以上の「ホーム」はない。心配された台風も来なかった。さて、行きがけ渋谷駅で井の頭線に乗ったところ、やはり製図板を抱えて車両に乗り込んで来た大学院での先輩と鉢合わせた。学科試験のときも休み時間に偶然会ったが、今回はさらに早かった。そして今回も大いなる幸運だった。というのも彼は以前から言動のどれをとっても人並み外れた知性・教養・機智を感じさせないものはなく、それに比べれば僕など子犬のようなもの。お互いが目下の試験に受かろうが落ちようがそれは変わらないことで、いつかあれくらいの域に達したいと思いながら過ごすことはこれからも変わらないんであって、何やらおおらかで気楽な気持ちになったのだった。

駒場東大前駅で降り、正門をくぐり、教室の案内がある立て看板を見に行こうとしたところでまたひとつ。正門の方から、青いスポーツウェアにバッグをたすきがけにしてやってくる長身の男。建築学科と「スペランツァFC」の両方の先輩かつバイト先の事務所でもお世話になった方だった。OBとして日曜午前のサッカーの練習に来たのだそう。人がこれから試験に立ち向かわんとしている状況で、まるで調子のいいときのノバク・ジョコビッチのような余裕しゃくしゃくの軽快な足取りで歩いてくるものだから、思わず「変わってよ」と言ったものの、彼は2年前に一級の資格は取得済み。

会場はわりと古い建物に当たってしまったが、建築学科に進学した頃に、後に研究室の先生になる伊藤先生の授業を受けたところだった。そういえば伊藤先生もいつか「君たちは若いから目の前の1年2年をクリティカルに考えているかもしれないけれど、そんなの全然!」と話していたなあ、、、。そんなこんなで、目の前の困難な試験はあるものの、一方で「今回ダメでもまたチャンスはあるし、そんなにムキにならなくてもいいのだよ、くすくす」と、ユーモアとウィットをもって語るいくつもの視点の存在も感じながら自分の力が出せたことは良かった。もちろん、(たしか以前も書いたように)グッドルーザーを目指しておおいに努力はした数か月でありました。