Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

ケースは燃え尽きて(ニューヨーク、ボストン旅行記 9)

アメリカから無事に帰国しました。成田空港に着陸し、預けたスーツケースが出てきてみたら、メインのファスナーのひとつが完全に取れてしまっていた。ボストンの空港からここまでの間のどこかで取れたのだろう。これではもう使えまい。ずいぶん前に買った小さな安物のケースで、旅行に帰省にと色んな場所を連れ回して酷使してきて、力尽き、まさに燃え尽きたか…。アメリカではずっと頑張ってくれてありがとうと思った。

ああ、それにしてもあっという間に終わってしまった。最初は渡航申請を忘れていてどうなることかと思ったが、無事に行って帰ってくることができて良かった。全日にわたって天候には恵まれ、おおむね行きたかった場所にも行け、会いたかった人たちにも会えて、楽しい旅行だった。アメリカに気持ちも身体も慣れてきた頃に帰国となる点は残念でもあり、今は終わってしまった寂しさや喪失感に襲われている。

私は、もう一度人生をもらえるとしても、監督をやる必要はない。監督としての私は、この人生で、完全燃焼するつもりだからだ。

というアルベルト・ザッケローニの言葉があったが(あるいはコピーライターの考えた言葉かもしれないが)、ここまで劇的な言い方はしなくとも、旅行にもただごとでない一回性みたいな面があって、だからこそ知らずのうちに一分一秒を大切にし、一期一会に対する感性は高まって、そうして旅情というものも生まれてくるのだろう。