Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

久我山へ

「本当に狭いんだな。」
國學院久我山高校のグラウンドを一目見て、びっくりした。サッカーのコートの半分がとれるかどうか。

11日に行われた高校サッカー選手権の決勝戦を、何年ぶりだろうか、じっくりとテレビで観戦した。対戦カードは東福岡 対 國學院久我山。僕としては小柄な選手が多く、パスサッカーを信条とするという久我山を応援していた。大学1、2年生の頃に主な行動圏だった井の頭線沿線の高校ということもある。だが、試合結果は既に知られているとおり、東福岡が5-0の完勝で優勝を飾った。國學院久我山も随所にテクニックの光る好プレーを披露したものの、試合全体を通じてプレーのスケールやダイナミズムで東福岡が上回っていて、納得の結果だった。

大敗は残念だったが、この東京都代表の準優勝校について、テレビの実況で何度か紹介されていた情報―高度な文武両道を目指す進学校でもあることや、グラウンドが狭く、しかも他部とのグラウンド使用の兼ね合いのため練習時間も短いことなど―に興味を引かれた。そこで、決勝戦の直後にたまたま久我山の近くに用事があったので、ついでに実際に高校を見に行ってみた。

神田川玉川上水の流れるそば、生産緑地なども散在するのどかな住宅地に、その高校を見つけられた。そして、冒頭の驚きをもって眺めることとなった。狭い。地下に広大な秘密の練習場でも備えているのではないかと、あるはずもない疑いを抱きさえした。実況のアナウンサーによれば、この狭いグラウンドで、1日に1時間半から2時間程度のみの練習だとか。そんな環境でも日々の部活動を積み重ねて、全国選手権で準優勝という途方もない結果にまでいたった選手たちには、あらためて尊敬の念が湧いた。よほど密度の濃い練習を重ねていたのだろうと。

さて、ひるがえって自分の高校時代を振り返ってみると、まったく、サッカーでも勉学でも、毎日用意された練習なり授業なりを受け身でやり過ごすだけで、ただただ漫然と過ごしていたなあと、失望と反省ばかりが浮かんでくる。通学条件や学校施設について、國學院久我山よりもよほど恵まれた環境を提供されていたように思えるのだが…。何より恥ずかしいことに、当時はそれなりに充実(!)した高校生活を送っていると、これまた漫然と思い込みながら過ごしていたのである。さして根拠のないこの自信は、今にして思えば、熊本の謎の風土によって助長されていた部分もある気がする(謎の風土とはすなわち、熊本においてはなぜか人の出身高校に大きな関心が示され、一応県下有数の進学校であるわれらが母校は、なにかともてはやされるという傾向…)。とはいえ、もちろんまず第一に自分自身に起因するものだろう。

浪人・大学以降は、人間関係も広がり、主体性も多少は身につけていって、前記のような根拠のない自信、ハッピーなおめでたさを少しずつ克服していったと信じたい。が、たとえばこうして自分を顧みて客観視する心がけだって、その実、知らぬ間に毎日の惰性になっていた練習や授業を無邪気にこなしていたかつての自分のおめでたい気分と、さして隔たるところがないのかもしれない。