Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

見出された時

ジョイスプルーストにはまだ全く手が出せずにいるのに題名だけいただくのは気がひける。一方で、題名を知っているだけでも、小説との付き合いは開始されている。)

4月に設計部に戻ってきて3か月近く経ち、ようやく仕事を思い出してきた。都市計画のコンサルという異なる職種の部署にいた昨年度は、やはり「失われた一年」だったと思う。「何事も経験」「何事にもメリットとデメリットがある」そんなフレーズは「お早うございます」という挨拶と同じくらい無意味で形式的な言葉に過ぎない。職業・職種に貴賎はないし、様々な職種にそれぞれの必要性があることもわかる。ちょうど一昨日も、新しい豊島区役所を訪れて、都市計画手法や事業スキームの重要性を実感したばかりだ。それでも、設計職能として入社したのであれば、本人の強い希望がない限りは、入社3年目というタイミングで他の部署に異動させるべきではないと思う。これは自身の好き嫌いで駄々をこねているだけではなく、会社の人材=資本の活用という観点からも思うことだ。つい先日、僕と同じように設計から都市計画に異動した社員の方と話をした際、その人の設計や現場の知見が何ら広がっていないように感じて、空恐ろしくなった。

さて4月からは「ボリュームチェック」という作業に主に従事している。これは建物の建設計画が具体的に始まる前段階の仕事で、デベロッパーが購入を検討している土地に、法規制等を勘案して、どの程度の規模の建物が実現可能か、また工期や工事費はどの程度かかるかを検討するもの。最大限の床面積を確保し、事務所や店舗のテナントとして貸し出せる面積を1㎡でも多く勝ちとることがまず第一の目的であり、単にこなすだけでは夢も希望もない作業ではある。とはいえ、設計の基礎トレーニングになるし、類似事例を調べたりする過程で実務知識も蓄えられていく。考えが浅い箇所はちゃんと図面に表れる。トイレのレイアウトが少し不自然だったり、ドアの開き方向が違っていたり。そして、デベロッパーに提出する内容−面積配分や簡単な図面–以上の詳しい内容をしっかり想定しておくことが重要。